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【絶対チェック!!】脂肪吸引のリスクってどういうの?

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脂肪吸引は美容外科の人気治療のひとつですが、良いことばかりではなくリスクもあります。手術を検討している人はリスクのことも前もって知っておいたほうがいいですよね。

 

そこで今回は、これから脂肪吸引を考えている人が絶対に知っておくべき脂肪吸引のリスクについて説明します。

 

 絶対知っておくべき脂肪吸引のリスク

今から、脂肪吸引のリスクを手術を受けたあとの時期別にリストアップして説明していきます。

 

手術後の痛みや腫れなどのダウンタイム中に起こることはこの記事では取り上げません。

 

脂肪吸引後のダウンタイムについて知りたい方は過去記事があります。ぜひこちらもご覧になってみてください。

 

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 では、脂肪吸引のリスクについて順に説明していきます。

手術中に起こりうるリスク

ここでは、手術中に起こりうるリスクを説明します。ここで紹介する3つのリスクは万一生じた場合は生命に関わる重大な事態です。ただし、起きる確率は非常に低いのでふつうは起きないけれど知識として一応持っておくという理解で大丈夫です。

 麻酔事故

局所麻酔薬のアナフィラキシーショック、局所麻酔中毒、呼吸が止まる、麻酔からさめないなどの麻酔事故が起きるリスクがあります。

 

ただし、医療機関は不測の事態が起きた場合のことも想定して機材や薬剤の準備をしており、緊急事態が起きた時にはすぐに対処するので最終的に不幸な転帰となる事故がおきる確率は非常に低いといえます。

 

肺塞栓(はいそくせん)症

血栓(血のかたまり)が肺の血管につまると呼吸困難、胸痛を引き起こすことがあります。これを肺塞栓症といいます。エコノミークラス症候群のことです。

 

肺塞栓症が発生しやすい条件は手術中に同じ姿勢をつづける、脱水状態、肥満の方、高齢者、ピル(経口避妊薬)を飲んでいる方、喫煙者などと言われていますが、発生頻度は0.008%~0.04%程度なのでおきる確率は非常に低いといえます。

 

脂肪塞栓(しぼうそくせん)

脂肪のつぶが血管につまることによって呼吸困難や意識障害が生じることがありえます。発生頻度は肺塞栓症と同じくらい非常にまれです。

 

術後1週間までに起こりうるリスク

ここでは、手術終了後に家に帰ってから術後1週間までの期間に起こりうるリスクについて説明します。

熱が出る

術後1週間までの間に38度以上の発熱があった場合は患部に感染が起きている可能性があります。すぐにクリニックに連絡して診察をうけてください。

 

微熱(37℃台)の場合は原因が脱水のことが多いので、水分を多めに飲むようにしてください。目安は1日1.5リットル以上です。

 

熱があると体力が奪われて余計に疲れやすくなるので、熱を下げるために痛み止めをのみましょう。痛み止めは鎮痛だけでなく解熱作用もあるので飲むと熱もさがります。

 

頭痛・吐き気がする

手術後、麻酔や鎮静薬、圧迫下着の窮屈さなどの影響で頭痛や吐き気が出ることがあります。頭痛や吐き気は手術当日のみのことが大半で、ベッドでゆっくりしていれば翌日には改善しますので心配いりません。

 

頭痛や吐き気が翌日以降も続く場合はクリニックに相談してください。

 

だるい

お腹や太ももなどの広範囲の脂肪吸引では、取れる脂肪量が多いためにそのぶん、手術中の出血量も多くなります。そのため、術後にだるさや貧血症状が出ても不思議ではありません。

 

貧血によるだるさは数日でとれることが多いですが、手術から1週間経過してもだるさやふらつきが残っている時は担当医に相談してください。

 

血腫ができる

脂肪吸引をうけた部分に血がたまってしまう状態を血腫(けっしゅ)といいます。血腫になっているかどうかは術後数日から1週間で判明します。血腫と診断された場合は血腫を治すための治療が必要です。

 

ただし、手術後は患部を圧迫しているので血腫が生じることはほとんどありません。したがってまれなリスクと考えて大丈夫です。

 

傷口が化膿する

傷口が化膿した場合は追加治療が必要になります。しかし、傷口が化膿する可能性はとても低いので、ふつうは心配しなくても大丈夫です。

 

皮膚が壊死する

脂肪吸引をうけた部分の皮膚の血行が悪化したせいで皮膚が壊死するリスクがあります。このリスクも可能性がゼロとは言いませんが、まず起こらないといえる極めてまれなリスクです。

 

内臓損傷がおこる

お腹の脂肪吸引の時に手術器具で腹腔内穿孔を起こし、内臓が損傷された場合、術後数日して出血性ショックや敗血症性ショックとなるリスクがあります。

 

生命に関わる事態ですが、慎重に治療をおこなうことでほぼ回避できるリスクでもあります。したがって、通常は心配する必要はありません。

 

お腹の脂肪吸引をうけて2,3日以上経つのに痛みがどんどんひどくなる、痛み止めを飲んでもきかない、お腹を少し触れただけでもすごく痛いなどの症状がある場合は我慢せずにすぐにクリニックに相談してください。

 

術後6か月以降に起こりうるリスク

皮膚がボコボコになる

不適切な手術や圧迫によって、皮膚に凹凸ができてボコボコになるリスクがあります。手術から6か月経過してもぼこぼこが良くなっていない場合、そのぼこぼこは修正手術をしても消えずに残ってしまう可能性があります。

 

手術後1ヶ月目に患部がぼこぼこに見えることがありますが通常は6ヶ月以内に改善して消えてなくなるので心配ありません。

 

ぼこぼこになるリスクを避けるためには医師の技術力や治療方針を事前に確認しておく必要があります。カウンセリング時に医師に聞くべきことをまとめた過去記事がありますのでぜひ参考にしてください。

 

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皮膚がたるむ

皮膚に張りのない人がいっぱい脂肪を取ってもらったり、元々たるみがある人が脂肪吸引をうけると、たるみが悪化してキレイに見えなくなるリスクがあります。

 

脂肪吸引によってたるみが発生した場合、そのたるみが自然に治ることはなく、たるみ取りの手術をするしかありません。

 

このリスクを避けるために、担当医には『限界まで脂肪をとってほしい』と言うのではなくて、『たるみが出ない程度にできる限り細くしてほしい』と伝えるようにしましょう。

 

色素沈着が残る

脂肪吸引後、一時的に患部に色素沈着が生じて肌の色がいつもより黒ずむことがあります。

 

これは通常、3~6ヶ月以内に元の肌色に回復しますが、6か月以上経過しても色素沈着の色合いに変化がない場合は色素沈着が少し残ってしまう可能性があります。

 

色素沈着が残るか残らないかは体質による部分が大きいのですが、年単位でみるとほぼ全例で色素沈着は消えると考えて大丈夫です。

 

傷跡が目立つ

脂肪吸引をうけたときにできた傷跡は消えることはありませんが、通常はほとんどわからないくらいにキレイに治るのが普通です。

 

しかし、患者さんによっては傷跡が目立って治ってしまうケースがあります。

 

手術後6か月以上経過した時に傷跡が汚いと感じるなら、担当医の診察を受けて傷跡修正ができるかどうかの相談をしてみてもいいと思います。

 

しびれがのこる

脂肪吸引をうけて1ヶ月経過したくらいから患部の皮膚の感覚が以前よりにぶく感じることがあります。

 

このしびれ感は時間とともに改善し、最終的にはしびれはなくなるのが普通です。

 

しかし、脂肪吸引後半年以上たつのにしびれが残っている場合は、今後もしびれが残る可能性があります。

 

多くの場合、年単位でみるとしびれは改善していき、最終的には全然気にならなくなることがほとんどですが、しびれを敏感に感じる方の場合は永久にしびれが残るかもしれません。(生活にはまったく支障がないレベルです)

 

脂肪吸引のリスクまとめ

 ここまで、脂肪吸引のリスクについて手術後の時期別に分類して説明させていただきました。読むと怖くなるような部分もあったのではないかと思います。

 

しかし実際には、世界中で毎日たくさんの脂肪吸引が行われていますが、なんの問題もなく手術が終わり、なんの問題もなく経過し、患者さんは結果に満足しているのが普通です。

 

必要以上に不安になることはありませんが、脂肪吸引も外科手術の一つですので安易に考えずにリスクがあることをご理解いただき、正しい知識をもって治療を受けていただきたいと思います。