美容外科クリニックではたらく医師のブログ

現役美容外科医のお仕事と日常生活

【脂肪吸引の麻酔】硬膜外麻酔ってどうやるの?

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お腹や太もも、ふくらはぎの脂肪吸引時の麻酔では、僕は硬膜外麻酔(こうまくがいますい)という麻酔法を行っています。

 

硬膜外麻酔とは、背骨の近くの硬膜外腔(こうまくがいくう)という部分に局所麻酔薬を作用させることで麻酔効果を得る麻酔法です。

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硬膜外麻酔はお腹だけに麻酔を効かせる、太ももだけに麻酔を効かせるという風に麻酔範囲をコントロールすることができ、使用する局所麻酔薬の濃度を調整することで麻酔のつよさも選ぶことができるので、美容外科手術のような日帰り手術ではとても有用な麻酔法と言えます。

 

しかし、硬膜外麻酔の手技を習得するには医師に経験が必要になるため、硬膜外麻酔をおこなっていないクリニックもあります。

 

なかには、硬膜外麻酔は危険だからやらないほうがいいと説明している美容外科クリニックがあるようですが、お産の無痛分娩では硬膜外麻酔が用いられています。

 

ほんとうに硬膜外麻酔が危険な麻酔法であるなら妊婦さんに行うはずがありません。硬膜外麻酔は手技に慣れた医師がおこなうなら、安全で患者さんの体の負担を軽くできる良い麻酔法と考えてくださって大丈夫です。

 

そうは言っても、硬膜外麻酔という言葉をはじめて聞く人もいるでしょうし、背骨の近くに行う麻酔というと、なんとなく怖いイメージがあるのではないでしょうか?

 

そこで今回は、硬膜外麻酔がどのように行われているかを写真で紹介させていただきます。

 

写真は太ももの脂肪吸引をおこなうための硬膜外麻酔をするところです。まずは麻酔を行う部分にペンでしるしをつけています。

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次に消毒をしています。茶色い色は消毒液の色です。

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消毒後は滅菌したシーツをかけます。

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処置中の痛みをなくすために局所麻酔の注射をします。麻酔注射をする時はチクっとしますが、すぐに効果が出ますし、それほど痛いわけではないので安心してください。

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ここからの処置はすでに先ほどの麻酔が効いているのでまったく痛くはありません。硬膜外針を硬膜外腔まで進めていきます。

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硬膜外針が硬膜外腔に達したら、カテーテルをいれます。この時も麻酔が効いているので痛みを感じることはありません。カテーテルは手術が終わるまで入れたままにして、必要に応じて麻酔薬を注入していきます。

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最後にカテーテルが抜けないようにテープで固定をして処置は終了です。消毒開始からここまで5~10分以内でおわります。

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 このあとはカテーテルから局所麻酔薬を注入し、麻酔を効かせていきます。

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硬膜外麻酔の手順をご覧いただきましたが、いかがだったでしょうか?こうやって見てみると、おそろしい処置ではないことをご理解いただけたと思います。

 

硬膜外麻酔をうける場合のポイントを挙げておくので参考にしてください。

  • 医師に『丸まってください』と言われたら、ひざを抱えてエビのように背中を丸めてうしろに突き出す
  • チクっとするのは最初の局所麻酔の時だけであとは痛くない。処置がおわるまでは体を勝手に動かさずにじっとしている
  • もし気分が悪い、息がしにくいなどの症状が出てきた時は我慢せずにすぐに病院スタッフに伝える

 

処置そのものは10分程度でおわる硬膜外麻酔ですが、医療機関側は不測の事態に備えて薬剤や機材を前もって準備することで安全に麻酔をおこなえるようにしています。

 

硬膜外麻酔による脂肪吸引は、局所麻酔だけでおこなう脂肪吸引よりも使用する薬剤や機材、人員配置などの面でコストがかかるのでそのぶん、治療費も高くなってしまうのですが、楽に手術がうけられるメリットを考えると十分に価値があると思います。

 

硬膜外麻酔単独でも脂肪吸引の手術を受けることができますが、僕が脂肪吸引を担当させてもらう時は、硬膜外麻酔で痛みを取った上に、点滴による鎮静剤を併用することで患者さんにほぼ眠った状態で手術を受けてもらっています。

 

ですので感覚としては、全身麻酔ではないのですが全身麻酔のように、寝ている間に手術がおわるとお考え下さい。

 

『硬膜外麻酔ってどういうことをされるんだろう・・・』と不安に感じていた方の参考になればうれしいです。