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【脂肪吸引の手術ってどうやるの?】③麻酔

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  特集【脂肪吸引の手術ってどうやるの?】の3回目、今回は麻酔について説明します。

  1. 血液検査
  2. 手術前のマーキング
  3. 麻酔
  4. 皮膚切開とWET法
  5. 脂肪を吸引する
  6. 圧迫する

手術当日、担当医による手術部位のマーキングがおわると、そのあとは麻酔の準備が進められていきます。

 

脂肪吸引の手術で行う麻酔には以下の3つの方法があります。同じ部分の脂肪吸引でも麻酔方法はクリニックや医師によって違いがあります。カウンセリング時に麻酔方法の説明も担当医からしてもらってください。

  1. 全身麻酔
  2. 局所麻酔
  3. 静脈麻酔

3つの方法を順に説明していきます。

 1.全身麻酔

 

全身麻酔器を用いて呼吸と体液循環をコントロールした上で吸入麻酔薬を投与することで完全に眠った状態になり、痛みも完全に取り除かれた状態になる麻酔方法です。

 

3つの方法(全身麻酔、局所麻酔、静脈麻酔)の中では一番確実な麻酔方法ですが日帰り手術のための麻酔法としては大がかりな方法といえます。

 

そして、全身麻酔は麻酔器や薬剤など、特殊機材が必要となること、手術当日に麻酔科医の招へいが必要となるため、全身麻酔をうけるにはコストが多くかかります。そのため、麻酔代金が他の方法より高くなるので治療費が高額になる傾向があります。

 

※全身麻酔で脂肪吸引をうける場合は、麻酔開始から終了までを麻酔科医が専任で担当してくれるかを絶対に確認してください。もし美容外科医が麻酔も担当するならそのクリニックは避けたほうがいいと思います。

 

2.局所麻酔

 

局所麻酔薬を使って手術を行う部分のみに麻酔をきかせるのが局所麻酔です。局所麻酔には、手術をする部分に麻酔薬をしみこませて麻酔を効かせる方法(浸潤麻酔)と手術をする部分の神経に麻酔を効かせる方法(ブロック麻酔)があります。

 

浸潤麻酔(しんじゅんますい)は頬やあごの下、二の腕の脂肪吸引などの比較的範囲が狭い部分の手術で採用されている麻酔法です。

 

浸潤麻酔は患部に麻酔液を注射して麻酔を効かせるので処置は簡単ですが、注入量が多くなると処置時間もその分長くかかるので注入時の痛みがあるのと、局所麻酔薬は1日で安全に使える量に限りがあるので、広範囲の脂肪吸引には浸潤麻酔は不向きと言えます。

 

写真は二の腕の脂肪吸引の時に浸潤麻酔をしているところです。

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 ブロック麻酔は太ももやお腹、ふくらはぎなどの脂肪吸引で行われている麻酔方法です。写真は太ももの脂肪吸引のために腰からブロック麻酔(硬膜外麻酔)をしているところです。

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硬膜外麻酔は浸潤麻酔に比べると使用する局所麻酔薬の量をかなり少なくおさえることができ、それでいて長時間の麻酔効果が得られるので大変優れた麻酔法ではありますが、硬膜外麻酔の技術をもつ美容外科医は少ないため、硬膜外麻酔がうけられる施設の選択肢が少ないこと、そのため麻酔料金が浸潤麻酔でうける時より高くなる場合があるのが欠点と言えるかもしれません。

 

浸潤麻酔、ブロック麻酔ともに痛みがない状態で手術をうけることができますが、全身麻酔とは異なり意識がある状態ですので、眠った状態で手術を受けたい方は鎮静薬を使ってもらう方法を併用するか、全身麻酔がうけられる施設を選ぶ必要があります。

 

僕の個人的な意見ですが、ほほやあご下の脂肪吸引ならなんとか局所麻酔単独でもうけられると思いますが、そのほかの部分の脂肪吸引は手術時間の長さを考えると眠った状態でうけたほうが楽だと思いますので、鎮静薬を併用してもらう方法で手術を受けることをおすすめします。

 

3.静脈麻酔

 

点滴をして鎮静剤や鎮痛剤を使うことでほぼ眠った状態になる麻酔方法です。広い意味では静脈麻酔も全身麻酔の一種と言えますが、全身麻酔と違って呼吸や心臓の動きまではコントロールしないので美容外科クリニックではよく行われている麻酔方法です。

 

静脈麻酔を受ける場合は手術前に食事や水分摂取の制限があります。手術の何時間前まで食事や水分を取ってもいいかはクリニックによって違いますが、安全な麻酔のために絶対に守るべき注意点ですので、かならずクリニックの指示を守るようにしてください。

 

そして、もし食事や水分制限の時間を間違えて食べたり飲んだりしてしまった場合は正直にクリニックに申告してください。事情を隠したまま麻酔を受けてしまうのは大変危険です。

 

手術に大きい小さいはあるけれど、麻酔に大きい小さいはないと言われています。つまり、どのような麻酔法にもリスクがあるということなんです。

 

通常、麻酔は安全に受けられるものですが、そのためには、ふだん飲んでいる薬があればカウンセリング時に医師に報告する、持病があったり、体質のことで気になることがあれば些細なことでも医師に伝える、クリニックからの手術前注意事項はかならず守るなどの患者さんの理解と協力が必要です。

 

以上、特集【脂肪吸引の手術ってどうやるの?】第3弾をお届けしました。次回は『皮膚切開とWET法』について説明します。

 

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